11歳の少女と15歳の少年―最終戦争後を生きる者たちの運命は人類最終戦争後の世界。大地は炎魔が闊歩する黒い森におおわれ、人々は結界に守られた土地で細々と暮らしていた。最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体によって、この時代の人間は、傍で天然の火が燃焼すると、内側から発火して燃え上がってしまう。この世界で人が安全に使用できる唯一の〈火〉は、森に棲む炎魔から採れる。火を狩ることを生業とする火狩りたちの間で、あるうわさがささやかれていた。「最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、〈揺るる火〉が、帰ってくる――」と。“千年彗星〈揺るる火〉を狩った火狩りは、〈火狩りの王〉と呼ばれるだろう”紙漉きの村に生まれ、禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、火狩りに助けられた灯子。首都に生まれ、母を工場毒で失い、幼い妹を抱えた煌四は“燠火の家”に身を寄せることを決意する。灯子と煌四、二人の生き様が交差するとき、あらたな運命が動きだす――